乳と蜜

柔らか巡礼

Entries from 2020-02-01 to 1 month

女王は死んだ

駅前のスターバックスでここで号泣したらどうなるのだろうと思いながら課題をこなしていた初夏、ひとりの男に声をかけられた。翻訳アプリを使わなくても意思の疎通が図れることに安堵しながら、この町で衝動的に買ったママチャリを祖国へどう持ち帰るべきか…

卓上の米国旗

私の中のオバマは不老不死の若手政治家で、Wikipediaに書かれた実年齢になぜかショックを受けていた明け方。 小さな点と点が線になる。Tinderでマッチした人とお茶をしていたらオバマの話になり、つい数時間前に少し調べただけなのに幼い頃にベッドで母親か…

鵺の泣く夜に

伯母がいた。留学先から帰国した翌日に、伯母が既に亡くなっていることを母親は私に告げた。誰も悪くはない、誰も責めることはしない。喪失から立ち直りつつある家族の輪から外れた場所に、5年前からずっと立ち尽くしている。 低気圧に頭骨を締めつけられて…

入水はしない

地元の友人と電話越しの会話をしていて、好きな言葉の響きを見つけた。ポスト、赤い口で郵便物を食べるほうではなくて。ポスト、ラテン語で「○○の次の」を指す接頭辞。 ポストアルバイトスタッフとなり10日が経過する。ポストアルバイトスタッフもといポスト…

ドーナツ穴には虚学を詰めて

駅前のベローチェでTOEFLの勉強に煙草を燻らせながら励んでいると、隣に座ってきたのが昔に逃げ出したバイト先の社員だった。ロッカーキーを投げつけて駆けたことを思い出し、頭痛動悸吐き気。顎をこの22年間でいっとう突き出し別人を装いつつ煙草が短くなる…